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古道具店・店主保科大輝

別所に流れる湯川(ゆがわ)とよばれる川沿いにある空き家屋。 その家を3~4ヶ月かけて修繕しつつ、全国をまわって古道具たちを集め、新たに「別所古道具店」として生まれ変わらせたのは オーナ–の保科さん、31歳。彼に、お店をオープンするに至るまでの話を聞いた。

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2014年春、別所温泉の大湯地区に一件の古道具やさんがオープンした。

琺瑯のポットや陶器のうつわ、ガラス瓶などもあれば、古いオーディオデッキや昔軍隊で使われてたという道具類、木の家具、はかりや文房具まで、家々の片隅でいろんな時代を経て眠っていたであろうモノたちが、再び目覚めて光を浴びている。

古道具との出会い

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「長い経緯があるのですが、もともとは上田に戻って、ゲストハウスをはじめる予定でした。でもなぜか、いろんなご縁で古道具店をオープンすることになり(笑)。 ちょうど一年前の2013年のゴールデンウィークあたりから、ゲストハウスを開くためにこっちに戻ってきては物件探しをしていました。 でもなぜか『古道具』というキーワードにぶつかることが多くて。」

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「一番はじめは、長野市の1166(いいむろ)さんというゲストハウスを訪ねたとき、そこに置いてあったフリーペーパーの特集が『古道具』だったんです。 その時は『へえ~』というくらいだったのですが、次に松本のつばくろという古道具やさんに行ったときに、 オーナーさんと話をする中で逆に『ゲストハウス、いいよね』という話になったり。ゲストハウスで古道具を置いているところもありました。」

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「ゲストハウス」と「古道具」のキーワードが保科さんの中で交差しはじめる。 いろんな地域を訪れても各地で古道具と出会う機会が徐々に増え、次第にその魅力に吸い寄せられていってしまったという。

「古道具の中でも鉄サビ系が好きですね。工業系のもの。へこみとか、サビとかも含めて同じ物はない、というところが古道具の魅力です。 ゲストハウスをオープンさせるには、建物の基準などが結構厳しくて。」

借りることになった空き家の掃除、改修から、オープンした古道具店の看板まですべてひとりで作ってしまう保科さん。 そこには、これまで経験が生かされているようだ。

日本各地の小屋を経て

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「23歳くらいのとき、沖縄の那覇にあるゲストハウスで店長をやってたんです。ビーチが歩いて30秒くらい近くにあってすごく良いところでした。運営も自分の自由にできましたが、格安の宿泊料金設定だったので、切り盛りしていくのが大変でした。」

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その後は富山の立山の山小屋に3年いて、食料を担いで山を登ったりした期間もあったそうだ。 各地の宿で働いてきた中で、いつか地元に戻って自分でゲストハウスをオープンさせたい、そんな夢が保科さんの中でふくらみはじめる。

そのために、三重で会社員として働きコツコツお金を貯め、着実に夢に向かって一歩一歩を進んでいった。 会社員を続けながら、休みの日に上田に帰り、物件探しをする。 そんな生活をする中で、ゲストハウスオープンから少し道が変わっていったが、晴れて古道具店をオープンさせることになる。

地元に戻る

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保科さんは塩田平の前山地区の出身。卒業した小学校は現在さくら国際高校として使われている、西塩田小学校だ。 この校舎は映画のロケにも使われたりする、木造の古い建物である。 「地元は前山で、西塩田小学校(現さくら国際高校)の最後の卒業生でした。木造のすばらしい校舎でした。 いま建物がどうなってるのか、すごく興味があります。こういう仕事をしているせいかか、古い建物の活用とか、すっごい気になりますね。」

別所だけじゃなくて、市内のお客さんも多い。 同じ大湯地区には、 古道具店と同じように、長い間使われていなかった物件を活用し、喫茶店として営業している店主・星野さんもいる。 同じ地区で、ちょっと先輩の星野さんは心強い存在だ。

コツコツと夢を貫く

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建物の改修はほぼひとりで行い、売れない家具類の解体などの作業も黙々と行う保科さん。 改修の間にも大雪が降り、地区の雪かきを率先して手伝ったりと、近所の方たちとのやりとりも頼もしい。

「お客さんに『遠方ですか?』と聞くと、『いや、近所です』って(笑) 通り沿いなので、気になると思いますよ。みんな『売れてる?』と心配してくれています。」 いまでも旅にも出たいな、という思いもあるし、ゲストハウスを開く夢も捨てきれない。

でも流れに身を任せ、自然体でいながらも、自分のやりたいことをやり通す保科さん。 オープンしてまだ間もない別所古道具店だが、大湯の一場面にはなくてはならない存在になってきている。

(執筆者:直井)

Information
別所古道具店
長野県上田市別所温泉76
tel:
営業時間:9:30~18:30
定休日:不定休

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