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別所温泉財産区×別所温泉 共同洗い場

長野県最古の温泉といわれる別所温泉。
外湯や旅館などでの入浴としての温泉は有名だが、実は地域の方たちが日々の暮らしの中で使っている“洗い場”があるということをご存知だろうか?
別所温泉財産区の降旗康雄さんにお話を伺った。

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温泉でせんたく♪

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別所温泉の朝の日常風景。バケツに洗濯物を積み、それをキャリーにくくり付け、ゴロゴロとひきながら、おばあちゃんたちが歩く姿をみかけることがある。何かな?と思っていたら、温泉が出る「洗い場」へ洗濯に行く途中だった。

いまだに洗濯板をつかって手で洗う暮らしが残る別所。「お湯(温泉)だと、汚れがよく落ちるよ。」と近所の方が教えてくれた。

別所温泉は院内、大湯、神道、分去と4地区に分かれており、さらに細かく分けると計12地区からなる地域である。その12地区すべてにこの温泉が出る「洗い場」がある。

もともとは川の水を汲んで、それを共同の洗い場として使っていたらしいが、大正時代にこの温泉の洗い場が登場した。今のような給湯が各家庭になかったころは、あたたかいお湯で洗濯や食器洗いができることがとても有り難いことだったに違いない。

みんなの共有財産

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洗い場を管理するのは「別所温泉財産区」というところ。財産区というのは、特別地方公共団体のひとつだが「そこに暮らすみんなの大切な資源を、みんなで管理していきましょう」というもの。

公的なものでもなく、私的なものでもない、みんなのもの、という存在。財産区は別所の温泉資源を管理する、重要な役割を担っている。財産区では毎日、源泉の圧力・温度・量のデータを取り、浴場や旅館、洗い場への配分を決めている。

温泉あっての別所温泉。使いすぎてしまわないように、天気の変化などによる湯質や湯量の影響をみながら、日々データを取り、地下深くから湧き出る温泉の様子を伺っている。

現在は、洗い場を使っている方々は各地区数名くらいずつしかいないらしい。洗濯機の普及や給湯設備が各家庭に揃っている現代社会で、わざわざ洗い場まで足を運ぶ人が減っているという。

温泉というのは、自然相手のもの

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東日本大震災の大地震の時もそうであったらしいが、世界各地で起こる地震などによる地殻変動によって、地脈が変化し、源泉が枯れる…という現象が起こっているらしい。雨が大地に降り注ぎ、地下深くにしみ込んだ水が、地中でさまざま道をたどり、再び大地の鉱物を吸収して温泉となり、地中に湧き出ている。温泉というのは、自然相手のもの。

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全国各地、大きな温泉施設があたりまえにある日本において、そんなことをついつい忘れてしまいがちであった。しかも別所の温泉というのは地下から千年もの間、こんこんとお湯が湧き出ている。

いま温泉は全国いたるところで、観光産業の目玉となっているが、それは自然の記憶が刻まれた、貴重な大地の恵なのだということを忘れてはならない。そして、別所温泉の洗い場という暮らしに根ざした温泉文化も、かけがえのない財産としてこれから更に見直されていく予感がするのであった。

(執筆者:直井)

Information
別所温泉財産区
長野県上田市
別所温泉1700
tel:0268-38-5750
公式サイト

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