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三代目中村実×農民美術

上田の町並みに溶け込んだ農民美術。
芸術であり、実用品であるが故の美しさ。

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上田にある、主張しすぎない芸術

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上田市内を歩いていると必ず目にする、温かみと力強さが同居した木彫りの芸術作品たち。それは大きな壁面装飾品や飾り鉢という、いわゆる芸術作品だけでなく、小物入れや手鏡、オルゴール、果てはブックエンドまで様々な生活雑貨の中に息づいている。

上田市民の生活の中に溶け込んだ「農民美術」と呼ばれる芸術作品はなぜ誕生し、どこへ向かうのだろうか。上田市在住の農民美術作家、三代目中村実さんに、「農民美術」とは何かを伺ってみた。

農民美術とは?

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「農民美術」とは、大正から昭和にかけて活躍した芸術家山本鼎(かなえ)(1882~1946)がロシアで見た現地の木彫り人形や実用品の装飾に感激し、日本の休農期の農家の収入を安定させるために上田で広めた「農民の作る芸術・実用的工芸品」である。

決して裕福ではなかったであろう当時の農家の作品であるからこそ、ただの芸術に留まらず、様々な日用品の中に息づくものになったのである。

三代目中村実

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思わずため息が漏れる、本当にうっとりとする作品だった。山本鼎の1番弟子初代中村實(実)の名前を代々受継ぐ、三代目中村実さんの作品を目の当たりにした時の、正直な感想である。

日常のへの溶け込みや、可愛らしさに進化した日用品の農民美術とはまた別の、雄々しい、力強い、伝統的な作品である。これらの作品を作り出すための彫刻刀は、全て手作りとの事。作家としてのこだわりが垣間見える瞬間であった。

農民美術の今

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山本鼎が伝えた100年前の技術そのままであるロシアの農民美術とは異なり、時代の流れの中で、上田の農民美術はその形を常に変化させ続けている。それは、「農民が作る芸術」が発祥だからこそできる事なのかもしれない。

現代では、専業の作家がほとんどになってしまったが、手習いとしての教室も開かれており、新しい農民美術の扉は今も開かれ続けている。

これからの農民美術

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他の伝統工芸と同様に、上田の農民美術においても、やはり後継者不足、以前の様な販売が見込めないなど、課題は多くある。しかし、日々進化している農民美術だからこそ、現代の生活様式や、現代のセンスにマッチする作品は沢山ある。

そしてなにより、作品の個性は現代の「オシャレ」そのものである。「農民美術」というものを、伝統芸能だけにとどめず、日々の生活にとりいれてみてはいかがだろうか。

(執筆者:川端)

Information
農民美術作家
三代目中村実工房
長野県上田市国分495
tel:0268-22-2905
公式サイト

 

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